通訳こんなとき

めずらしくお昼に何人かと連れ立って留学生食堂に行った。となりのテーブルに年配の日本人の新同学が座っていたのだが、服務員とこっちへやってきて「悪いけど、ごはんに砂糖が入ってるって言ってくれないか」と言う。見ると、確かにごはんの熱でとけたかなりの量の砂糖がべっとりとたまっていた。

うっ。できれば言いたくない。この人はきっと日本の感覚で「砂糖が入ってる」と言えば替えてくれるものと思っているだろう。でもここ中国ではそれだけではダメで、「替えてくれ」と言って交渉しなければならないのだ。

断るのはあまりにも冷たいだろうか。中国語の練習だと言って、自分で言わせたほうがいいのか。でもそう突き放せるほどこの人とは親しくない。まして私よりかなり年上だ。あるいはこの人のかわりに服務員に「替えてくれ」と言ってあげたほうがいいのか。

結局、砂糖が入ってるということだけ言った。服務員は不服そうだったが、あまりにもはっきり砂糖がたまってるので、結局それをもって厨房に行った。それから替えをもって来ないので、その人は何回も厨房のほうを見たりしていたが、結局はあきらめたらしい。

こういうことは割とちょくちょくある。友だちだったら私はどこまで通訳すればいいのか、はっきりきけるけど、たまたまそこに居合わせて通訳するという場合はききにくいし、できれば面倒に巻き込まれたくないと思う。今回ならば、もし「替えてくれ」と言うとすれば、あれこれと言い訳をする中国人服務員と直接やりとりをするのは私になるのだ。

ほかの人ってこういう時、どうしてるんだろう。特にお金をもらって通訳する場合なんて、どうしてるんだろう。

雨もまた楽し

西安は雨季だそうで、とにかくずっと雨である。水はけが悪いので、どこもかしこも川になっている。古くからいる同学によると、学校前の長安街に歩道橋がない頃は、1回5角で渡す船が出ていたそうだ。(ほんまかいな)

ところで、9月の初めに寮の前で新しい留学生と顔見知りになった。国はわからないが英語を話す少し年配の女性で、寮の前のレストラン(留学生食堂だ)は「先生とか偉い人だけじゃなくて、私でも入れるの?」と聞かれたのだ。

今日、また寮の前でその人に会った。あいさつすると突然「Do you know how to swim?」と聞かれた。

はあぁぁ?

真っ先に自分のヒアリング能力を疑った。でも前半はともかく、swimという単語だけは間違いない。トレーニングのためにプールにでも行こうと思って、場所を聞きたいのか。

次の瞬間、学校中にできている川のことだとわかった。平泳ぎのかっこをしながら「I need to learn.」と言うと、満面の笑みで「Yes, you do!」と言っている。思わずつられて笑ってしまった。

試しに、ものすごい水かさで車が全然走ってない長安街で、渡し船と並んでその人と泳いでいるところなんかちょっと想像してみた。うーん、これはけっこう楽しいかも。

今度はくつを

武術の練習に使うくつのつまさきに穴があいてしまった。安いからしょうがないとはいえ、酷使するからしょうがないとはいえ、もう穴があくとは…

Sちゃんもくつを買いたいというので、このくつを買ったところに行ってみたらもう扱ってないそうだ。こんなくつはく人、もう誰もいないのであろう。また1足買ってキープしておこうと思ったがダメになってしまった。Sちゃんはほかのくつにしたが、私はこのくつが好きなので、何とか手を打たなければ。今の買い置きはできればおろしたくないので、今のを修理するしかない。

そこで昼休みに学校の裏通りの何でも修理のおじさんのところへ行ってみた。全然聞き取れない陝西話で「こんなに穴あいちゃってダメだよ」と言っているようだが(ジェスチャーで判断)、結局預かって「あとで来い」ということになった。

午後の授業が終わって行ってみたらみごとに直っていた。といっても厚めのゴムシートを貼っただけなのだが、もうみるからに丈夫そう。これなら当分もちそうだ。「うわーすごい、いいね」と言うとおじさんもうれしそうに「丈夫になっただろう」と言っている(…と思われる)。

修理代は3元だった。くつが6元で修理が10元だとちょっと悲しいなと思ったが、3元ではまた悪いような気がする。でもおじさんは私が喜んでるのを見てうれしそうだった。

このあいだのテレコの修理のおじさんといい、中国の修理おじさんはサイコー!!である。

新入生歓迎会

ゆうべは日本人留学生の新入生歓迎会があった。前学期はそんな会があることを知らなかったので(お知らせがなぜか回ってこなかった)初めて参加したのだが、こんなに日本人がいるとは思わなかった。全部で40人以上、よく授業で見かける子もいるし、キャンパスで会ったことのある子もいるし、全然見たことのない子もいる。

留学生食堂の一部を借りて食事をし(自己紹介があった)、2次会は学校前の通りのバーに行った。何人かはさらに3次会のカラオケに行ったらしい。その後どうなったかはわからない。

やっぱり学生が一番多い。大学の交換留学生制度でここへ来ている子がほとんどのようだが、ほかの都市で勉強していて留学生のあまりの多さに、勉強にならないといって移って来た子もいる。

社会人もけっこういた。見た目では大学生との区別がつかないんだけど、話してみると、20代後半から30代はじめでいったん社会に出てから留学に来た子はやっぱり腹がすわっている。

ある意味、おじさんおばさんグループは無茶だ。そもそもこの年で中国留学すること自体が無茶だ。もしかしたらこのグループがいちばん勉強より中国を楽しむことを優先させてるのかも。

久しぶりにすごく楽しかった。ゆうべはぐっすり眠った。

練習再開

武術学校通いを再開した。今学期はSちゃんが一緒に通うことになったのでうれしい。

まず事務局に行って「また来たよー」とあいさつ。あと1週間で国慶節の休みなので、事務局的には国慶節明けから始動ということになったが、実際には今日から練習だっ!

体育館に行くと馬3先生がいた。えっ、フランスに行ったんじゃないの。馬3先生「その話はなしになったんだ」しえー、じゃあ早く練習にくればよかった。馬3先生「でも今度は11月にポーランドに行くことになった」忙しい人だ。

今学期のメンバーは私とSちゃんのほか、このあいだ私をつかまえたオーストラリアのMくん、この武術学校の寮に入っているアメリカのHくん。来週からはイタリアのLくんと、いずれはイギリスのTくんも帰ってくるだろうと思われる。馬3先生「スイスからも1人来ることになってる」うわあ。

前学期は西洋チームの中国語がまださほど達者でなく、馬3先生が英語と中国語の両方で教えていたが、今学期になって彼らの中国語にめざましい進歩が見られているため、ほぼすべての授業が中国語でOKになった。私が通訳(中←→英)をする場面(泣)ももうないだろう。よかった…ほんとに。

ウォーミングアップをして、さしあたり前学期にならった套路をやってみろと言われたので、やってみた。馬3先生「套路は忘れてないね。でもずっと練習してなかっただろう」はい、そうです、その通りです。こんだけバレバレだと、抵抗も言い訳もなし。馬3先生「まあ少しずつ慣らして、そのうち新しいのをやろう」はい、がんばります。

Sちゃんは子どもについて基本動作を練習していた。武術の基本なんて、ひらたくいえば中腰→しゃがむ→中腰→しゃがむの繰り返しだけなので、つらいことこの上ない。それから比べれば私のやってる套路練習なんて「哼着歌」練習だ。

しかしSちゃんはそれを文句も言わず延々と子どもについてやっていた。あとから聞くと「つらくて休みたかったんだけど、子どもが一所懸命教えてくれたから休むって言いづらくって」と言う。言いづらいだけで続けられるのか。ふつうは言いやすい言いづらいよりも体がついて行かないと思うぞ。Sちゃんはめちゃくちゃ強いか、めちゃくちゃ鈍いかのどっちかだ。

終わってからSちゃんとMくんとで真っ赤な夕日を見ながら、きれいな植え込みのある歩道を歩いて帰った。やっぱ気持ちいい!